2006/10

北朝鮮の核と安全保障問題

 ニュースを見て、「ついにやったか」という感があった。以前からさんざんやるぞと繰り返してきた国家の行ったことなので、特に驚くには値しないと感じているが、政府と多数の国民の反応はいささかヒステリックだと思う。
 まさに今、現実の脅威に直面しつつあるように語る向きも多いようだが、朝鮮半島の脅威など半世紀前から現実のものとして存在しており、我々日本人だけがこの半世紀ほど気がつかなかっただけの話だろう。
 なぜこうも我が国は安全保障問題について鈍感なのだろうか。国会の質疑を見ていても呆れてくる。我が国は法治国家だから、法に反する行為は原則として行ってはならない、という話は理解できるし当たり前の話だから、集団的自衛権の解釈と行使の問題を議論するのは必要なことだろう。我が国が抱える安全保障上の大問題は、この集団的自衛権問題などの議論を「今ごろ」やっていることである。
 銃口を向けられ、剣の切っ先を喉に当てられてから、ようやくどのように我が身を守るべきかを考え始める。そんなバカな人間はそれほどいないと思うが、これを国家レベルで壮大にやっているのが我が国である。個人ではやりそうもない愚行を国家レベルではやってしまう、ということは日常生活と国政は関連がない、つまり政治に関心がないということだと思う。
 身近な問題からスタートして自分たちが属する社会の政治に市民として参加する、これができない国や国民は、近所の不条理な国家からの攻撃をわけもわからず受けることになるかもしれない。