まずは色から 〜赤・白・ロゼ〜
ワインというと、よく聞く話のひとつに「白は初心者向け、赤は上級者向け」なんてものがありますが、本当でしょうか?
たしかに、白ワインに比べて赤ワインは渋みがあるものが多く、飲みにくいと感じる人が多いような気がします。赤ワインを好む人たちの中には、白なんてジュースみたいだ、とおっしゃる方もたまに見受けられます。
でも、ワインと言ってもお酒なんですから、美味しくいただければ、それでいいと私などは思っています。
では、赤・白・ロゼの3色についてそれぞれ製法などを簡単に説明しましょう。
赤ワイン
赤ワインは、黒色系のブドウから作ります。収穫したブドウを潰して、果梗を取り除き、果皮、果肉、種子を一緒にタンクに入れて10〜20日間ほど発酵させます。これを「かもし」といいます。発酵が終わったら圧搾して、マロラクティック発酵という過程をを経たのち、樽またはタンクでの貯蔵・熟成に入ります。特に高級なものは樽による熟成が重要です。最後は瓶詰めしてさらに熟成を加えながら出番を待つわけですね。
赤ワインの赤い色は、かもしの最中に果皮の色素がしみ出してくることで生まれます。渋みは種子から出てくるタンニンという物質によります。樽で貯蔵している時にも、タンニンが加えられますね。
渋みがあると言っても、もちろんワインによってそれほど渋みがなかったり、ものすごく渋みがあったりで、性格はさまざまです。日本では、ボジョレ・ヌーヴォーというものが有名だったりしますが、これは特定の銘柄を示すものではなく「ボジョレー地区の新作(知人談)」とでもいった意味の言葉です。この名前で日本に輸入される赤ワインは、比較的すっきりフレッシュなワインが多いと思います。まぁ、若いワインですから当然と言ったら当然ですね。
白ワイン
白ワインは、主に緑色系や黄色系のブドウから作ります。収穫したブドウを潰し、果梗を取り除いて、すぐ搾ります。この段階で、果汁だけになってしまうので、赤ワインのように果皮や種子から、色素やタンニンがしみ出すことがありません。だから渋みがほとんど無いんですね。こうして得られた果汁を発酵させ、適切なところでそれを止めます。発酵することによって糖分がアルコールになるので、発酵が長ければアルコール度数が高くて辛口に、短ければアルコール度数が低くて甘口になります。また、赤ワインと違い、一部を除いてマロラクティック発酵もさせません。タンクで貯蔵・熟成ののち、瓶詰めされます。
白ワインは、かもしやマロラクティック発酵がないために、フレッシュでフルーティーなものが多くなりますが、甘口か辛口かというのは発酵期間の長さによるため、白だからといって必ずしも甘いとはいえません。
また、ほとんど見かけませんが、黒色系のブドウからも白ワインは作れます。かもしをしなければ色素がしみ出さないからです。でも、その反対、つまり白ワイン用のブドウからは赤ワインは作れません。もともと赤い色素がないから当たり前ですね。
日本でよく見かける白ワインは、シャルドネやマドンナといったところでしょうか。いずれご説明しますが、シャルドネはブドウの品種、マドンナはドイツの銘柄のひとつです。
ロゼワイン
ロゼワインというと、ほんのりピンク色の美しい色合いを持ち、軽く甘みが感じられるワインですが、作り方としては赤ワインと同じブドウ・製法で、かもし期間を短くする方法、または赤、白用のブドウを混ぜて醸造する方法が考えられます。かもしが短ければしみ出す色素が少なくなって、薄い色しか付かなくなります。赤、白混醸では、もちろん混ぜて熟成させているのだから色は薄くなります。もうひとつ考えられる方法は、すでに出来上がった赤、白ワインを混ぜてロゼにする方法ですが、これは主要な生産国では発泡ワインを除き、禁止されています。
ロゼワインは、赤、白半々のワインと思われていることが多いようですが、実際は白ワインに近いワインです。
どうしたわけか、ロゼは邪道だ、とおっしゃる向きもまれに見受けられますが、見た目にも美しいロゼは、何かのお祝いには最適なように思います。と、そういえば披露宴でも乾杯用によく見かけますね。
また、知人によると一般に日本でロゼ、と呼ばれるワインは特にロゼ・ダンジュというもので、もっと力強い味わいの赤ワインに近いロゼもあるとのことです。やっぱり奥が深いですね。